2024年2月2日相手が予想する流れで話そう
★話を聞いている人の頭の中
私たちが普段話をする際、見過ごしがちなことがあります。
それは、話を聞いている人は話の流れを予想しながら聞いている、ということです。
例えば、朝礼で業務連絡を聞いているときは、
「部内の担当変更があるのか。この時期に変更するのはどんな理由なんだろう」
などと考えるでしょう。
また、雑談をしている場合なら、
「そうか、彼は沖縄に行ったのか。何がよかったのかな」
などと思いながら話を聞いています。
聞いている人のこれらの思考に沿って話をすると、噛み合った話ができます。
★人は予想しながら話を聞いている
このように、人は話を聞いている時、ある程度話の流れを予想しながら聞いています。
「そして」という言葉を聞くと「この後、今話したことにつながることを言うんだな」と考えます。
「ところが」と聞くと「これから今の話と反対のことを言うんだな」と推測します。
これは、私たちが持っている共通認識や、話す上での常識をもとにして話を理解しているプロセスと言えるでしょう。
従って、話をする際は、相手が推測するとおりに話をすると、ストレスを感じることなく話を聞いてもらうことができます。
逆に、相手の推測に合わない話し方をしてしまうと、聞き手は話が理解できず、混乱してしまいます。
話が聞き取れなかったり理解できないことがあったりすると、聞き手は、
「今なんて言ったのかな?」
「〇〇ってどういうことなのかな?」
と考えてしまいます。
これらを考えている間、人は話が聞けなくなってしまうので要注意です。
★相手の推測に合わない話し方の例
相手の推測に合わない話し方の例を幾つか挙げてみましょう。
「私はその人の話にとても感動しました。この人にはついて行けないな、と思ったんです」
(聞き手:「えっ? 感動したのならついて行こうと思ったんじゃないの?」)
この話は、言うべき言葉を飛ばして話してしまった例です。
例えば、「話に感動したけど、私とは考え方がちょっと違うなと思った」という言葉をはさめば、聞いている人は理解できたでしょう。
このように、言わないと理解されない言葉を飛ばしてしまうのです。
考えながら話していて、言葉よりも考えが先走ってしまうと、話すべき言葉を飛ばしてしまう人もいます。
また、普段はこのような話し方をしない人でも、人前で緊張して話していると上のような話し方をしてしまう人もいます。
何れの場合も、こうした話し方にならないよう留意して欲しいと思います。
また、このような話し方をする人もいます。
「私は魚が食べられません。なぜなら、えっとぉ、小さい頃からそうで、食べられないんです」
(聞き手:「ん? どうして食べられないのかな?」)
これは、途中で話を変えた例です。
「なぜなら」という言葉を聞いた人はその後に「~だからです」という言葉を待っています。
しかし、この人は「なぜなら」と言ってから急に、小さい頃からずっと魚が食べられなかった、ということを思い出しました。
そして、そのことをそのまま言葉に話をしてしまったのです。
このような話し方をしてしまう人は、日常の中でもよく見かけます。
ご自身がそういう話し方をしていないか、ぜひ確認してみてください。
★事前に話の流れを考える
これらの例を冷静な状態で読むと「私はこんな話し方はしない」と思われるかも知れません。
しかし、先に述べたように、考えながら話していると、上の例のような話し方をしていることが実によくあります。
従って、話をしながら話すことを考えなくて済むように、事前に話す内容をよく考えることが肝要です。
話には『起承転結』や『PREP法』など、幾つかのパターンがあります。
これらを活用すると、話の内容も話の流れも考えやすくなります。
そして、常に事前に話の内容や流れを考えるようにすると、やがて考える時間も短くなっていきます。
話すことを頭の中で個条書きにするだけで話せるようになります。
なので、ぜひ話す前に考えることを習慣にしてみてください。
★話し方に磨きをかけましょう!
日本話し方センターのベーシックコースでは、今回お話した話の構成を考えるトレーニングを行っています。
このトレーニングを受けることで、相手が予想する流れで、わかりやすい話ができるようになります。
また、滑舌や声のトーン、表情、話の内容や話す順番など、話すことに関するあらゆることを身につけていただけます。
ぜひ無料体験教室に参加して、その実際の様子をお確かめください!